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※今回は『キングダム』79巻の内容に少し触れています。物語の核心に関わるようなネタバレではありませんが、これから楽しみに読まれる方はご留意ください。
先日、楽しみにしていた『キングダム』79巻を読みました。
その中で、とても印象に残った場面がありました。
趙国の天才軍師として描かれている李牧が、
中華最強の弓使いと言われる、青華雲に対して、
「あなた方は目線が高すぎる」
と語る場面です。
青華雲は、超越した弓矢の技術があるために、
敵を一方的に殺戮することができます。
でも、弓を撃っても撃っても、敵はまた湧いてくる。
そして、味方の兵士も、どれだけ殺されてもまた湧いている…
そうであれば、
どこに向かって、何のために弓を撃つのか?
終わらない戦乱の世において、
弓を撃ち続ける意味を見出すことができず、
青華雲は弓を置き、戦場を離れようとします。
弓という道を極めても、
戦争を終われせることはできない。
ならば、この道を進む必要はない。
というよりも、最初から道などなかった。
青華雲は、このように考えたと私は解釈しました。
そして、李牧が
「あなた方は~」という言葉を使ったのは、
青華雲だけに言ったのでありません。
武の極めることで、人を救済しようとした趙国大将軍の龐煖
中華を統一し、戦争のない国をつくろうとしている秦王・嬴政
目指している理想が壮大過ぎて現実味がない。
そして、その理想を求めるための犠牲があまりにも大きい。
その理想を否定はしないものの、
他の道があるのではないかと李牧は考えています。
李牧自身も、それがどんな道なのか現時点が見えていませんが、
必ずその道があり、そこに人々を導きたい。
そう考える、李牧に対して、私は強く共感しています。
さて、ここからが本題です。
この話は、私たちの組織における目標設定についても考えさせられます。
高すぎる目標は、人を成長させることもあります。
でも同時に、人を苦しめたり、不幸にしたりすることもある。
壮大すぎる理想を求めることも大切だが、
目の前に苦しんでいる人を救うために、
できることを全力でやるべきではないか。
これが、李牧の考え方であり、私も共感している考え方です。
理想を大切にしている一方で、
経営においても、組織づくりにおいても、まずは足元を固めることを大切にしています。
無理な目標を掲げれば、人は疲弊したり、自信を失うこともあります。
結果として、組織が弱体化する。
理想だけでは会社は続きません。
だから私は、現実的な目標を設定し、一歩一歩積み上げていくことが大切だと思っています。
実際、それが最も再現性の高い方法だとも感じています。
一方で、思うことがあります。
歴史を変えたのは誰だったのだろうか?
歴史を振り返ると
結果として、中華を統一したのは、秦国の嬴政でした。
秦王・嬴政が、
もし、現実的な範囲で目標設定をしていたら、
中華統一という歴史そのものが生まれなかったかもしれません。
現実的な目標は、人を守ります。
組織を安定させます。
一方で、高い理想は、人の心を動かします。
時には常識を超えるような力を生み出します。
どちらの道が、多くの人を幸せに導くことができるのか?
この問いに対して、私は答えをもっていません。
ただ一つ思うのは、目標そのものの高さが大事なのではなく、
「何のためにその目標を掲げるのか」
が大切なのではないかということです。
自分の見栄や執着のための目標であれば、人を苦しめることもあります。
でも、多くの人を幸せにしたいという願いから生まれた理想であれば、
人を前に進ませる力になるのかもしれません。
私は組織のリーダーとして、私は今でも李牧の考え方に共感します。
ですが、嬴政のような大きな理想に心を動かされる自分もいます。
だからこそ、この問いにまだ答えを出せずにいます。
そのどちらも大切なのだと思います。
ただ、そのバランスをどう取るべきなのか。
キングダム79巻を読みながら、そんなことを考えました。
今回の気付きが、皆さんの目標設定や組織づくりを考える、小さなヒントになれば嬉しいです。
アイ・スマイル社会保険労務士法人
副代表 江崎智也
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