いつもアイ・スマイル社会保険労務士法人(愛知県名古屋市)のホームページブログページをご覧頂きありがとうございます。社労士の江崎です。

もう3月も終わりですね。そして、いよいよ2022年4月1日からは、中小企業においてもパワハラ防止対策が義務化されます。

もちろん私は社労士なので、会社が法改正に対応する事はとても大事だとは思っていますが、今回の法改正に関係なく、「パワハラ問題」は会社にとって大きな損失なので、会社を強化するという観点からパワハラ対策をしていくべきだと考えています。

「パワハラ」は、従業員の士気や生産性を下げ、離職率を高め、場合によっては社員のメンタル不調を引き起こす等、実は会社の業績に大きな影響を与えている事も少なくありません。

大切な社員が、苦しい気持ちで仕事をしていたり、病気になってしまったりするのは本当に悲しい事です。だからこそ、こういった問題から目をそらさず、真摯に向き合う事が大切なのではないでしょうか?

さて、ここから少し視点を変えてみます。

ハラスメント対策の必要性を感じる一方で、
会社側も、従業員側も「パワハラ」について不健全に解釈し、
世の中の空気が、会社にとってマイナスに作用しているように感じる場面も少なくありません。

「パワハラ」と「厳しさ」は異なりますし、「パワハラ対策」と「甘やかし」は異なります。
この事は誰もが何となく理解していますが、実際の行動指針に落としこむのは難しいのが現実です。

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【職場のパワーハラスメントの定義】

職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
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上記がパワハラの定義になるのですが、
業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指導であっても、
「上司の言葉にプレッシャーを感じたので、パワハラではないか?」
と疑問をもってしまう従業員もいますし、
そういった状況を恐れて、適切な指導を避ける上司も少なくないのではないでしょうか?

そして、企業側の対応として、リスク回避の観点から
正当な指導であっても、争いに巻き込まれるくらいなら
指導しないほうがいいという判断をしてしまうこともあると思います。

ただ、その結果として、パワハラを誤解している従業員は、適正な指導さえもしてもらえなくなる可能性がありますので注意が必要かもしれません。

企業側が、適切な指導をできる従業員に、責任のある仕事を任せて、それに伴う高い報酬を支払い、適切な指導をできない従業員には、それ以外の仕事をしてももらうという選択をした場合、その従業員が成長する事が難しくなってしまいます。

そういえば、ずいぶん前にある経営者がこんな事を言っていたのを思い出しました。

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ウチの会社は、一般社員に対して凄く丁寧に接しているんだよね。

なるべくストレス無く、快適に仕事をしてもらえるように配慮している。
ある意味では、お客様と同じくらい気を使っている。

だけど、自分自身や幹部、主力の社員には、ものすごく厳しさを求める。
そうじゃないと会社を守れないからね。

主力社員達は、自分からその役割を引き受けているので、丁寧に接してもらう事よりも
責任ある仕事を任せたり、高い報酬を与えるほうが喜んでくれる。

そして、そういう人達は「仕事に対する厳しさ」を覚悟しているから、
仕事に対する満足度も高いように思う。
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この会社では、社員に対する対応方針を明確にして、
目指すところと、その覚悟に応じた接し方をしているので
一般社員も主力社員も、仕事の満足度は高いのではないかと思います。

結局、その人の「覚悟」と「職責 」のつり合いが大切なのではないでしょうか?
このバランスがとれている状態であれば、その仕事に働きがいを感じることができるように感じます。

その経営者は、従業員の事をとても大切に考えていて、
その結果として、このような方針を貫いているように感じました。

現実問題として、重要なポジションを担う(または目指す)人には、
理不尽であったり、過度なストレスがかかる問題が発生することも少なくないと思います。

この時に、覚悟のある人は、乗り越えるべき壁であると解釈できるのですが、
覚悟のない人は辛くなってしまうかもしれません。

だから、高い目標を設定するときには、
「仕事で認められたい」とか
「高い給与がほしい」等の対価だけを求めるだけではなく、
それに見合う覚悟をもつという事が大事だと思います。

仕事に限らず、大きな成果を求めるのであれば、
パワハラは論外ですが、健全な
「厳しさ」は必要だと私は考えています。

甲子園を目指すなら、厳しい練習は当たり前ですし、
良い大学へ行こうと思うなら、厳しい受験競争に勝ち抜かなくてはいけません。

そして豊かな人生を歩むためには、
「自分を厳しく律する強い心」が必要だと思っています。

だからこそ私は仕事を通じて、そういう心を養っていきたいと考えています。

パワハラという低次元なものではなく、
健全な厳しさをもって、人が成長できる会社がたくさんある社会になるといいと思います。

アイ・スマイル社会保険労務士法人
副代表 江崎智也
メール:office@ais8.jp
Twitter:https://twitter.com/aismile_esaki
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