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社会保険労務士&キャリアカウンセラーの江崎です。

今回は人間関係のお話です。

「人の悩みの9割は、人間関係の悩みである」という説もあるくらい人間関係に悩む人は多いですし、ハーバード大学の研究によれば、「良い人間関係」と幸福度は直結しているそうです。そして年収や学歴や職業等は、幸福度と直接的な相関はないとの事。

もしその研究結果が正しいとすれば子供達の教育においても、学力を高める事以上に良好な人間関係を築く為のマインドとスキルを身につける事に、もっと時間とお金を使うべきかもしれないと個人的には思っています。

20年くらい前からずっと何度も読み続けている、私の人生のバイブルである 「七つの習慣(スティーブン・R・コヴィー著)」に信頼残高という考え方があります。

この信頼残高という考え方が良好な人間関係を継続する上で、とても有効だと思いますので、紹介させて頂きます。

銀行口座は、お金を預け入れすれば残高が増えるし、お金を引き出せば残高が減ります。
そして人間関係においての「信頼口座」は、相手に対して親切にしたり、約束を守れば信頼残高が増えます。逆に相手を見下すような態度をとったり、約束を守らないなどの信頼を失う行動をとれば、信頼残高は減っていきます。

過去に、「些細な事」がきっかけとなって、人間関係が冷え込んでしまったという経験はないでしょうか?こういった時にこの「些細な事」の中に原因を探してしまうのですが、本当の原因は、その出来事に至るまでの日頃の人間関係において信頼残高が不足していた可能性が高いです。

信頼残高のレベルが高ければ、特に気にならない事でも、信頼残高不足の状態だと「許せない事」になってしまいます。

「あの人にこんな事を言われた。」とか
「あの人にこんな事をされた。」等
その時の状況にフォーカスするよりも、それまでの関わりの中で信頼残高がどうなっていたかを考えた方が、本当の原因に辿り着けるのかもしれません。

人間関係において100点満点はあり得ないので、相手に喜んでもらえる時もあれば、不快な思いをさせてしまう事もあります。人間関係は、信頼の預け入れと引き出しを繰り返しながら、継続されていきます。
問題は、徐々に信頼残高が高まっていく関係なのか、徐々に信頼残高が減っていく関係なのかという事。

そして家族や職場などの身近な人間関係より、少し距離のある人との人間関係の方がうまく付き合えているという感覚がある時は、少し注意が必要かもしれません。

自分が日頃、信頼残高の預け入れより引き出しが多い行動をとっている場合、信頼残高の出し入れの頻度が高い身近な人から人間関係が冷え込んでいきます。そして少し距離のある人に対しても、出し入れの頻度が少ないので目立ちませんが、徐々に信頼残高を減らしている可能性があります。特に目に見えた問題がないので良好な関係が続いていると思いがちですが、もし信頼残高の出し入れの頻度が増えた場合でも良好な関係が継続できるのかを改めて考えてみるのもいいかもしれません。

逆に、日頃から信頼残高の預け入れの多い行動をとっていれば、時間と共に身近な人から順番に徐々に信頼関係が強固なものになっていき、良好な人間関係が継続され、良い人間関係の輪が広がっていきます。

だから、人間関係に悩む時に、特定の相手に対して特定の場面を想定して対応策を考えるのではなく、自分が日頃から信頼残高の預け入れが多い行動をとる事に集中するといいのかもしれません。
もちろん時間のかかる事ですが、良い人間関係をつくるのに近道を求めるべきではないように思います。

≪信頼残高が増える行動≫
・相手を理解する
・小さな事を気遣う
・約束を守る
・期待を明確にする
・誠実さを示す
・引き出しをしてしまったときには心から謝る

これは職場のリーダーに求められる行動と完全に一致します。
プライベートでも仕事でも、どの立場の人でも、大切にすべき事は同じですね。

特に日常生活の中で、小さな約束をちゃんと守るという事は大切だと思います。些細な約束を守らなくても、多くの人は、わざわざそれを咎めたりはしません。だからそれに甘えてしまう事ってあると思います。
でも、そういった些細な行動によって徐々に信頼残高が減っている事を忘れてはいけません。

逆に、些細な善行動の積み重ねによって、豊かな人間関係はつくられます。
一つ一つの行動はそれほど難しくありませんので、本当は良い人間関係をつくる事はそれほど難しい事ではないのかもしれません。

たとえ少しずつでも信頼残高の預け入れを継続し続ける事で豊かな人間関係がつくられる。
この事を意識して日々行動していきたいと考えています。

アイ・スマイル社会保険労務士法人
副代表 江崎 智也